8日、衆参両院の本会議で岸田首相の「新しい資本主義の実現」を訴えていました。
要は貧富の格差を是正するために、金融所得の多い富裕層から金融所得課税を増やし、増えた分を賃上げを行う企業に税制優遇するなどして庶民の所得を増やし格差をなくしていくという構想になります。
今月末には衆議院選挙も控えていて、与党の苦戦も囁かれている中何とか大多数の国民の期待を集めたい事情があるのでしょうが、それはさておき金融所得の課税はどの位優遇されているものなのでしょうか?
現状の金融所得について調べるとともに給与所得と比較してみました。
金融所得税と所得税の違い
労働で得た所得は所得税として徴収されますが、金融所得とは、利子や配当として得た所得や、株等の取引によって得た利益を金融所得と呼び、金融所得税は一律20.315%になっています。
所得税は、累進課税で所得が多くなればなるほど多くなる仕組みになっています。
課税所得が最低ラインで年に195万円未満で5%、最高だと4000万円以上で45%にまで跳ね上がります。
富裕層は金融所得の割合が高いといわれていますので、不公平感が強いのは否めません。
金融所得課税の見直しとして、
一律に税率を上げる
金融所得の額に応じて累進的に税率を上げる
といった案があるそうです。
岸田首相の派閥に所属する山本幸三衆院議員は現行の一律20%(所得税15%、住民税5%)から25%程度への引き上げが適当だとの考えを示しています。
1億円の壁とは
通常であれば、所得税は累進課税なので、所得が増えるほど負担率は上がるはずですが実際のところ富裕層の所得の内訳が、給与所得が少なく、金融所得が多いため所得税の負担率が年間所得が1億円を超えると低下しています。
このデータから見る限り貧富の格差が広がる要因となっています。
所得税率は見直されず分配により貧富の差は縮まる?
2021年、国債発行額は230兆円を超え財政的に苦しい状況には変わりないため所得税率を見直すといった発言は見られませんでした。
賃金アップすることで企業にとって十分なメリットを得られなければ積極的に動かないとも考えられ、また企業によって対応が違ってくるのでその効果は未知数です。
ただ、賃金アップは嬉しいですがその分所得税も増える訳で、サラリーマンが年収1億円とか稼げるわけはなく中間層が拡大し貧富の差が縮まるとは思いません。
ただ、看護や介護、保育といった具体的な職種について言及されているので、そういった関係に従事している方は期待したいところです。
まとめ
- 岸田首相は所信表明演説で「新たしい資本主義の実現」を提唱しました。
- 金融所得課税の見直すことで富裕層の課税を増やし、それを分配していく構想
- 税金の不公平さの見直しは大いに変えていくべきだが、貧富の差が解消するかどうかは疑問
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