10月9日、「地域ブランド調査2021」が発表され、都道府県魅力度ランキングで群馬県が44位(昨年40位)となったことを受け、山本一太群馬県知事が10月12日の臨時会見で民間の調査会社「ブランド総合研究所」に対して法的措置を検討していると語りました。
山本知事の言い分としては
・なぜ順位が下がったのか判然としない
・根拠が不明確で、群馬県に魅力が無いといった誤った認識が広がることは県民の誇りの低下、経済損失にもつながる
ということみたいです。
テレビでは、都道府県魅力度ランキングが発表されると毎回その話題が提供されたりして国民の関心度の高いランキングの一つですが、今回の知事の発言はさらに話題になりそうです。
ネットでも根拠の部分で不明瞭といった声もありますが、一体どんな調査方法で発表しているのでしょうか?
調べてみました。
ブランド総合研究所について
本社は東京都港区虎ノ門にある日本の民間調査会社です。
設立は2005年ですから、翌年から地域ブランド調査を始めています。
注目度の高いランキングなので、この結果を踏まえて来年度の予算編成をする自治体もあるそうです。
2019年台風19号の被害は甚大でしたが、この年最下位であった茨城県の県知事である大井川和彦氏は県のイメージを損ねるとして抗議し、ブランド総合研究所が謝罪する事態となり、この年のランキングは上位30位までのものに差し替わりました。
都道府県魅力度ランキングは2009年から開始-群馬県の順位の変動
都道府県魅力度ランキングの発表を開始した2009年から2021年の群馬県のランキングを調べてみたら以下のようになりました。
2009年 45位
2010年 41位
2011年 44位
2012年 47位
2013年 44位
2014年 46位
2015年 45位
2016年 45位
2017年 41位
2018年 42位
2019年 上位30位までの発表(ランキング不明)
2020年 40位
2021年 44位
群馬県は40位台で定着して、2012年には最下位も経験しています。
実際に群馬県民がこのランキングの結果から県の誇りを失っているかどうかは疑問ですが、新幹線も走っていて東京にも近く住みやすい群馬県がこの順位というのは個人的には意外です。
どんな調査方法?
公平性を保つために、どういった調査方法をしているのでしょうか?以前は回答者の多くが大都市に偏在しており、その回答も個人の主観に基づくもので客観的ではないと指摘をされた過去もあります。
今回の調査方法として
調査はあらかじめ調査モニターとして登録されている全国の約450万人の中から、居住地域別、年代別、性別でほぼ均等に回収できるように抽出したモニターに調査依頼のメールを配信し、専用のアンケートページから回答をしてもらった。回収した回答の中から、不完全回答や、信頼性の乏しい回答(すべての自治体に対して同じ回答を行っている者など)を無効回答として処理する「クリーニング作業」を行い、結果的に35,488人を有効回答とした。
さらに、回答者のばらつきを是正するために、2020年時点での実際の人口の縮図となるように回答者の年齢・性別・居住地を基準にウエイトバック集計を行った。
また、集計誤差を小さくし、精度を高めるために回収数の拡大を試み、都道府県ではひとつの都道府県の回答者が平均で1021人、市区町村では649人となっている。これは理論上のサンプリング誤差は95%信頼性において、都道府県では最大で3.13%、市区町村では3.92%に収まっている。
回答者のサンプリング方法として
・全国の調査モニター(約450万人)の中から、居住地域別、年代別、男女別にほぼ均等となるように抽出します。
そのモニターにアンケートへの依頼メールを送り、回答を促します。
年代は、20代、30代、40代、50代、60代、70代の10代刻みとしています。・地域別、年代別、男女別にほぼ均等となるように設定した回収数に達した場合は、回収を終了します。
回収が少ない場合は、同じ条件で追加依頼をします。・回答者には53種類の調査グループの中から、無作為に1つの調査票を配信します。
そのため回答者自身で回答する地域は選択できません。・回収後は、不完全回答や、意図的・不誠実な回答など、信頼性の乏しい回答を削除(クリーニング)します
(例:すべてで「1」を選択するなど)
このようにして、調査の信頼性を高めるようにしています。・日本の人口は年代や性別で均等になっていません。
そこで、日本の縮図となるように年齢や地域人口の分布に合わせて再集計(ウエイトバック集計)を行いました。
補正値は2020年の住民基本台帳に基づく人口(総務省)を居住6分類×年代6分類×性別2分類の72分類で算出しました。以上により、回答者は日本の人口の縮図に近い状態になっています。
調査対象者(サンプリング)について・・・地域ブランド調査2021
(これらは2006年の第1回目の調査から、基本的には同様の方法をとっています)
回答者が自ら地域を選択することは出来ませんが、無作為に選ばれた地域が自分の住んでいる地域になった割合がどうかははっきりしていませんが、概ね公平な調査方法のように思えます。
賛否両論のある魅力度ランキング
今回の山本群馬県知事とは対照的に、最下位の茨城 大井川知事は「魅力度ランキングが最下位だろうが何しようが我々にとって、あんまり痛くもかゆくもない」と述べました。
結果に一喜一憂するよりも、それを話題に転化し県の魅力を引き出せればそれに越したことはありません。
まとめ
- 群馬県は都道府県魅力度ランキング40位台と低迷している
- 山本県知事は法的措置も検討と言っているが、調査会社も知事の発言に反論している
- ランキング結果の対応についてはそれぞれ
なにかと必ず話題になる都道府県魅力度ランキング。北海道や京都のような毎年上位に入るところもあれば、下位に定着している県もあります。
世論は結果はただの結果だけであって、下位にあるからといって魅力を感じないことはないというのが大半です。
今後、山本県知事がどう動いていくのか注目です。
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